プチ食養生のすすめ ーすっかり夏編ー | 佐賀県鳥栖市の動物病院は「ときわ動物病院」

佐賀県鳥栖市 ときわ動物病院

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プチ食養生のすすめ ーすっかり夏編ー

プチ食養生のすすめ ーすっかり夏編ー

お役立ち情報

常盤祐希

監修者:常盤 祐希

  • ときわ動物病院 医院長
  • 所属:佐賀県獣医師会、動物臨床医学会、臨床五月会

現代医学では完治できない疾患であっても、うまく病気と付き合っていけるように東洋医学やアロマテラピー、薬膳などを取り入れるなど医療の幅を拡げることで動物達が、家族みんながよりよい生活を送るお手伝いをさせていただきたい。
人と動物が共に充実して生きていける優しい世界を一緒に創っていきましょう。

今年の梅雨は短かったですね。すると次に来るのは夏。毎年どんどん暑くなっているようですが、人も動物も熱中症には十分気をつけましょう。夏は「心」の季節。「心」は血と血の流れを主り、感情や精神活動をコントロールしている臓器。つまり「心」が不調になると、バテやすく不安になりやすい。さらに暑さで気を消耗し、気が不足すると血も水も生み出せない悪循環に。今回はそんな夏バテに対するおススメ食材を紹介していきます。

きゅうり     

夏の食べる潤い化粧水、きゅうり。気を降ろして余分な体の熱を冷ましてくれると同時に、豊富なカリウムの利尿効果で水分代謝も改善してくれる。よって熱のこもりやすい実熱タイプの子に合いますが、もともと冷えてる陽虚の子や胃腸の弱い気虚、血虚の子は控えめに。

さらに喉の渇きを癒してくれる上、マロン酸が体脂肪の増加を抑制してくれるというエステ野菜。しかも食べれば体の内側から、貼れば体の外側から熱を冷やしてくれるマルチクーラー。

 

ただし生で食べる場合、ビタミンCを破壊する酵素を持っているので合わせる食材には注意しましょう。実は加熱するか酢で締めれば酵素の力を抑えられます。ちなみに95%が水分なので、ぬか漬けにすると糠の水溶性ビタミンB1がガッツリきゅうりに移動して疲労回復食材に進化します。ぬか漬けってすごい!

 

きゅうりは先っちょから水分が抜けていくので、両端部がしっかりしているものを選ぶと長持ちします。ラップや新聞紙に包んで、へたを上にして冷蔵保存しましょう。とはいうものの、低温に弱い繊細さんなので冷やしすぎに注意。ただし薄切りを塩もみして水気を切れば冷凍保存も可。きゅうり、おいしい!

 

すいか    

真夏のビーチでやたら叩き割られる真っ赤な太陽、すいか。この赤は抗酸化作用によりガンや老化を防ぐと期待されているカロチノイド系色素、その名もリコピン。黄色い西瓜よりリコピンが多いので、抗酸化作用を狙うなら赤い西瓜がおススメです。すいか果汁を煮詰めた「西瓜糖」は甘くて美味しい上、むくみの改善に抜群です。

古来よりすいかは「自然から生まれた白虎湯」と称されるほど熱を冷まして利尿する効果が高い。しかも気も降ろしてイライラや喉の渇きを収めるので実熱、痰湿、陰虚体質の子に合います。ただし胃腸を冷やしやすいので陽虚、気虚、血虚の子は多食しないように。

 

ちなみにすいかの白い皮は「西瓜翠衣(セイカスイイ)」とも言われる生薬。尿素形成を促進して利尿効果を発揮するシトルリンが多く含まれ、日干しして保存すればいつでも効果が得られる優れモノ。浅漬けにしても美味しく食べられます。しかも血管を若返らせるので、動脈硬化の防止にも期待できます。

さらにすいかの種は肺と胃腸の機能を改善させ、便の出も良くしてくれます。硬い外皮以外はまるっと利用しましょう。

 

実はすいかは7~15℃で甘味が増します。井戸や川などで冷やすと10℃前後になるのでベスト。冷蔵庫だと冷やしすぎてしまうので、食べる前に冷蔵庫から出してしばらく室温に触れさせておくと美味しくなるでしょう。すいか、おいしい!

 

 

アジ     

「あじがいい」から「あじ」になったとも言われる(諸説あります)お馴染みの魚、アジ。冷えたお腹を温めて脾の働きを高めて消化吸収を助けます。よって冷えによる便秘や下痢、消化不良にも効果的。気虚、陽虚、血虚、瘀血体質の子に向いています。

アジはDHAやEPAといったω3脂肪酸やタウリンが豊富。なのでコレステロールを下げて血液をサラサラにしてくれます。だからこそ特に瘀血体質の子にぜひとも取り入れてもらいたい食材です。

イワシよりもタンパク質が豊富で脂肪が少なく低カロリー。豊富に含まれるDHAは脳の機能も活発にするので、認知症や老化防止にももってこいです。

 

身をチタタプしてなめろうにしたり、すり潰してつみれにしたりすると食べやすい。捨ててしまいがちな中骨は、こんがり素揚げして細かく砕くのもありです。アジ、おいしい!

 

紫蘇     

「紫色の蘇る草」の伝説を持ち古来から用いられる薬草、紫蘇。本来の品種は赤紫蘇で、青紫蘇は変種で「大葉」とも呼ばれます。辛味で体を温めて胃腸の働きを高めて気を昇らせる効果があります。なので陽虚、気虚、気滞体質の子に向いており、実熱、陰虚体質の子には不向き。

紫蘇の香りが気の巡りを良くして、イライラやストレスの軽減、食欲増進、吐き気止め作用を発揮します。ただし揮発しやすいので加熱する場合は短時間で。

βカロテン含有量は野菜の中でもトップクラスで、赤よりも青紫蘇の方が多く含みます。さらに主成分のペリルアルデヒドが抗菌、抗真菌、防腐効果を持つので梅干を漬けたり、刺身を乗せるのに使われるのは有名ですね。

 

紫蘇は生食が一番効果が高いです。体を温める効果を狙うなら、刻んで5分ほど軽く煮出して飲み水に混ぜると簡単。さらに刻んだ生姜を加えると温め効果抜群です。

湿らせたキッチンペーパーなどで優しく包んで、ビニールに入れて冷蔵しましょう。紫蘇、おいしい!

 

 

黒きくらげ     

今回初めてご覧になる方もいるかもなのでご紹介。お馴染みの方には毎度お馴染みの黒づくめの輸血剤、黒きくらげ。血を補ってくれるうえ、血熱も抑えてくれるので出血性疾患の特効薬。血虚、実熱、陰虚、気滞体質の子にはぜひ使いたい。

キノコの中でも食物繊維やカルシウムが抜群に多い。しかも体内でビタミンDになるエルゴステリンも多く含むのでカルシウム吸収もセルフで高めてくれる。なので骨の強化にもってこい。

 

くどいようですが、乾燥きくらげを戻すときは栄養素を壊さないように必ずお湯ではなく水で。食感を楽しむためと消化をしやすくするために、細かく刻んであげましょう。そろそろ書きべきことがなくなってきたよ。効果の違う白きくらげはまたの機会に。黒きくらげ、おいしい!

 

 

 

まとめ

もはや亜熱帯といってもいいんじゃないかと思う今日この頃の日本の夏。一年で一番気を消耗する季節です。つまり気の損耗から血や水分も不足してくるので、それぞれをバランスよく補いましょう。もちろん籠りやすい熱を冷ますのに、体を冷やす食材を使いがちになります。お腹を冷やしすぎると消化吸収も低下し、下痢や食欲不振に陥ってしまうので体質に合わせて冷えを和らげる食材も取り入れましょう。

ということで今回はそんな夏のおすすめを紹介しました。未だに「ブログ観ました、アレください」という方は現れていません。第一号になれるチャンスは今しかないかも?!

 

 

さぁ、今日からあなたもLet’sプチ食養生!次回もよろしくです!