プチ食養生のススメ -いつの間にか真っ盛りな冬編-
監修者:常盤 祐希
- ときわ動物病院 医院長
- 所属:佐賀県獣医師会、動物臨床医学会、臨床五月会
現代医学では完治できない疾患であっても、うまく病気と付き合っていけるように東洋医学やアロマテラピー、薬膳などを取り入れるなど医療の幅を拡げることで動物達が、家族みんながよりよい生活を送るお手伝いをさせていただきたい。
人と動物が共に充実して生きていける優しい世界を一緒に創っていきましょう。
ちょっと暖かくなったなと思ったらまた寒くなったり風が強くなったり。まだまだ冬を実感する時期ですね。冬は「腎」の季節。冷えにより足腰が痛くなったり尿のトラブルが増えたりしやすい時期です。そう。腎は発育や老化を司るので、気を抜いているとこの時期一気に老け込んでしまいます。今回はそんな季節に負けない体づくりのために、アンチエイジングや冷え対策にオススメな食材をご紹介しましょう。
目次
鱈
大きな口で食べることから「大口魚」と書いて「たら」と読む、鱈。ちくわやカニカマでもおなじみのスケトウダラ先輩も鱈の一種ですね。肝や腎に働きかけて気と血を補い、血の巡りを活発にするので気虚、血虚、瘀血体質の子に向きます。しかも高蛋白で脂肪が少なく低カロリーなのも魅力。そのうえ消化も良く疲労回復・体力回復にも効果的なので、老齢の子やダイエット時にもオススメ。
肝臓を保護するグルタチオンやタウリンをはじめ不飽和脂肪酸やミネラルもバランスよく含み、うまみ成分であるイノシン酸が多い。つまり健康にも良くおいしく食べやすい神食材。よって、何か魚を…と迷っているなら冬はもうコレ一択でしょう。鱈、おいしい!
蕪
体を温める作用と潤いを与えて熱を落ち着かせる作用の両方を持つレア食材、蕪。五臓を補って体を温め消化を助け、体内の水分調節をしつつ上がりすぎた気を抑えるのでイライラしやすい子や慢性的に疲れやすい気虚、血虚の子に向く。
消化を促進してくれるジアスターゼなどを含み、食欲増進にも効果的。さらに血栓防止や解毒作用のあるアリルイソチオシアネートは辛み成分ですが、加熱することで辛みが和らぐので煮込み料理がおすすめ。しかも蕪は根菜にしては火の通りが早いので調理しやすいのも魅力です。
実は白い根っこの部分にもビタミンCやカリウムが豊富。しかも、葉っぱにも水溶性ビタミンの他カルシウムや鉄が多く含まれているのでまるっと頂きたい。蕪、おいしい!
ブロッコリー
食卓に添えるだけでも映える生い茂る緑のアフロ、ブロッコリー。五臓の働きを回復し、特に腎の機能を高めてくれるので冬の滋養強壮にぴったり。また脾の機能を整えてくれるので、胃腸にやさしく気虚、血虚の子や虚弱体質の子に向く。さらには気を補ってくれるので、日常的に食べることで生命力が高まります。しかも、抗酸化力のあるルテインやがん予防によいスルフォラファンを含むので、高齢の子にも使いたい食材。
ただし傷みやすいので、酸化して黄色くなったものは気を付けましょう。豊富なビタミンBやCを有効に活用するためにも茹で過ぎは禁物。加熱するときはさっと火を通す程度にとどめましょう。新芽であるブロッコリースプラウトも、スルフォラファンやビタミン・ミネラルがさらに豊富。あわせて使いたい。ブロッコリー、おいしい!
シナモン
温かく癒してくれるイケメンしなだもんぺいこと、シナモン。「桂皮」「肉桂」とも言われる生薬としても有名ですね。体を温める作用が非常に強く、特に下半身を温める力がある。なので、冷えからくる腹痛や腰痛、関節痛の緩和にぜひ。さらに血行もよくするので冷え性の改善にも。気虚、血虚、瘀血、陽虚、冷えのある老齢の子に向く。一方、熱が強いので、陽熱、陰虚、痰湿体質の子には適さないので注意です。
血管を拡張して循環を改善するので、胃液分泌を促進するので消化も助けます。シナモンパウダーは使い勝手がよく、甘みと相性がいいのでスープやおやつに混ぜるのもあり。腎を補うクルミと合わせて使うとアンチエイジングにぴったりです。シナモン、おいしい!
大根
そのままでも煮ても焼いても漬けても干しても大活躍する冬の白い恋人、大根。生だと気を上昇させ、火を通すと気の通りをよくしてイライラを抑える。しかも気の逆流も防いでくれるので、気滞、痰湿、実熱体質の子に最適。ただし体を冷やすので陽虚体質の子は控えめに。
辛み成分のアリルマスタード油やジアスターゼなど消化酵素を含むので、お腹にやさしく消化を助けてくれます。しかしジアスターゼは熱に弱いうえ失活しやすいので、大根おろしは食べる直前におろすこと。つまり、お腹をすっきりさせたいなら大根は生食一択。大根はおろすと和えたりスープの具にしたりしやすく食べやすい。ただし根先の方は辛いので、真ん中から葉に近い方を使いましょう。
大根は葉っぱにもビタミンCやE、カルシウムが豊富なステキ食材。さらに干した葉は体を温める入浴剤としても使えるなんてマジイケメン。大根自体も切り干し大根にすることでカルシウム、鉄、ビタミンBが大幅にアップするうえ、甘みも増すので食べやすくなります。大根、おいしい!
きくらげ
はい、もうお馴染みですね、きくらげ。黒なのか白なのかって?今回この季節にオススメするのは、W!白黒両方とも使っちゃいましょう。さぁ、お前の罪を数えろ。
白きくらげは肺を潤し皮膚に潤いを与え、黒きくらげは血を補い皮膚に栄養を与える。乾燥するこの冬にまさにぴったり。黒きくらげはビタミンB2も含むので、脂漏症の子は皮脂のコントロールにもおすすめです。どちらも味の邪魔をしないうえ、それぞれの食感の違いも楽しめるでしょう。水でもどして細かく刻んでスープにしましょう。Wきくらげ、おいしい!
まとめ
まだまだ寒い日がある今日この頃。普段おうちの中でも足先や耳の先が冷たい、寒がりで外に出たがらない子は冷え性の可能性があります。体に「冷え」が入ってしまうと、臭いの少ない下痢をしたり尿量が少なくなったり関節の痛みが強くなったりします。お年を召した子は特に冷えやすいので、この時期からだを温める食材を足すと症状の改善に繋がることもあります。それぞれの体質を見極めて使っていきましょう。
ちなみに、まだ乾燥しやすい時期です。Wきくらげのように、前回の潤い食材もうまく使ってカサカサから守ってあげましょう!
さぁ、今日からあなたもLet’sプチ食養生!次回もよろしくです!